2015年 06月 06日
ネコを待つ
1週間ほど前に「予約」したネコの様子を見に行く。
もう家に連れてきてもいいのではと思うのだが。
家人の許可が下りるのを待っている。
私はケモノが好きで、
できたらライオンや狼などと生活したいのが希望だが、
人間の世では、犬や猫としか友達になれなかった。
私は犬や猫に自然の息吹きを求めているから、
血統書つきとか純血種とかは問題外だった。
何を純粋というのだろう。
人間は種をつくることはできないから、
交配によって、人間の知恵によって、
様々の種類の犬、猫をつくりあげた。
それはすばらしいことだ。
しかしそこには文化の匂いがする。
せめて犬や猫からだけでも、私は文化の匂いを嗅ぎたくない。
ケモノたちは、日なたくさい藁の香りを自分の胸に抱きしめるようにしてうずくまる。
その誇り高き孤独の香りは、
私を失われた自然へ導いてくれる。
だから、ぜひとも雑種の野良犬、野良猫の方が私に好ましかった。
(鴨居羊子『野良猫トラトラ』より)