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この本は、現在多くの方からご予約が入っています。

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図書館に予約してあった本が用意できたとメールが届いたので、取りに行った。
村上春樹の新作短編集『女のいない男たち』。

家に帰り、さっそく本を開いて読み始めてから、
何やらしおりのような紙が挟まれていることに気づく。

「この本は、現在多くの方からご予約が入っています。期限内にご返却くださいますようお願いします。安曇野市図書館」

そうだろうね。ぼくが予約してからも、もう1ヶ月くらい経っているから。
なるべく早く読んで返します。

























「吸いたければ、煙草を吸ってもいいよ」と家福は言った。
「はあ?」
「それに火をつけてもいい」
「屋根は閉まっていますが」
「かまわない」

みさきは窓ガラスを下ろし、車のライターでマールボロに火をつけた。
そして煙を大きく吸い込み、うまそうに目を細めた。
しばらく肺に留めてから、窓の外にゆっくりと吐き出した。
「命取りになるぞ」と家福は言った。
「そんなことを言えば、生きていること自体が命取りです」とみさきは言った。
家福は笑った。「ひとつの考え方ではある」

(村上春樹『ドライブ・マイ・カー』より)

by hitsujiya-azumino | 2014-07-24 22:40 | 本を読む