津村記久子に注目

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きのうのつづき。
今年図書館で借りて読んだ本でいちばん面白かったのは、
赤坂真理の『東京プリズン』だった。

来年はひそかに津村記久子に注目している。
さいきんよく名前を聞くようになったような気がする。
初めて読んだ(そして今も読んでいる)彼女の本は、
『やりたいことは二度寝だけ』というタイトルのエッセイ集。

例えばこんな文章。



今までの人生で投票をしてみたかった時期といえば、ぶっちぎりで小学生の頃である。一年生から三年生まで、すごく通学路の長い田舎の小学校に通っていたのだが、選挙というと思い出すのは、決まってその帰り道にいくつかあった選挙ポスターの掲示板のことだ。升目で区切られ、特別なのかそうでないのかよくわからないおっちゃんおばちゃんの顔のチラシが貼られた掲示板を、わたしと友達は、毎日のようにまじまじ眺めながら帰っていた。升目の板が、たくさんのポスターで埋まっていると、なんだかにぎやかで楽しい気がしたし、少なければ少ないほど寂しかった。たくさん顔が貼られていた時のあの活気は何だったのだろう、という無常感に浸ったものだった。
自分たちには関係がない、ということが不思議なぐらい、選挙の掲示板は道で目立っていて、わたしと友達は、おっちゃんおばちゃんの名前を一人一人読み上げながら、誰の印象がいいかというようなことを話し合っていたのだった。そして、自分たちに選挙権がないことを憤慨していた。わたしなら誰それに入れるのに!などと。もちろん、小学生に政策について話し合う素養などはない。マニフェストなどという言葉も、もちろん浸透していなかった。なぜか、その当時の情景そのものは、音や映像として不思議なほど鮮明に頭の中に残っていて、立候補者の名前を一人一人唱えたりするものだから、今も姓名をきっちり言える候補者がいる。わたしは昨日この人はだめだと言ったが、やっぱり考えなおしたよ、この人しか考えられない、などと言っていた友人もいた。何を考えなおしたのかについては永遠に謎だ。(「小学生と選挙」より)



いいなぁ。
図書館はもう冬休みに入ってしまったけれど、
来年、図書館の棚にずらっと並ぶ津村記久子の本を眺めてどれにしようかと考える、
そのことを想像するとうれしい。
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by hitsujiya-azumino | 2014-12-28 19:39 | 本を読む | Comments(0)